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越境ECを始める前に覚えておきたい日本の商習慣との7つの違い


日本の商品を海外のお客様に向けてネット販売する越境EC。国内のマーケットが若干飽和状態になっていることから、新しい市場を開拓しようと越境ECに手を出す事業者も増加している。

しかし海外への通販は日本国内での売買とは違い、商習慣が異なることからいくつか注意しなければならないことがある。まずはネットショップのシステム自体、国内を対象にした従来のシステムではいけないので、海外通販対応のショッピングカートを利用する必要がある。海外通販対応のASPサービスについては「越境ECを始めるために利用したいASPサービス4選」を参考にしてほしい。

今回は越境ECを始める前に知っておきたい、日本との商習慣の違いについてご説明していく。

 

言語の違い

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当たり前のことだが、国が違えば言語が違う。そのためターゲットとする国の言語に合わせて、商品説明文やナビゲーションを翻訳しなければならない。もし会社内に翻訳能力のある人間が在籍していればよいが、いない場合は外部事業者に翻訳を依頼することになるだろう。

越境ECの担当としては、翻訳にもコストが発生することを理解しておこう。

 

とりあえず英語を用意する

特定の国を決めずに、海外全域に向けて販売していきたいなら、まずは英語サイトを用意しよう。英語は世界の共通語と言っても過言ではない。英語のサイトを構築すれば、ひとまずは全世界を商圏範囲とすることができる。アメリカやオーストラリアといった英語圏の国だけでなく、ヨーロッパ諸国や東南アジアからの注文も期待できる。

 

アメリカ英語とイギリス英語の二種類ある

一口に英語と言っても、英語にはアメリカ式とイギリス式の二種類ある。

それぞれで言葉の表現が微妙に違い、例えば「サッカー」という言葉もイギリス英語では「football」と表現するし、アメリカ英語では「soccer」と表現する。その他にもイントネーションや文法なども微妙に異なるようだが、イギリス英語を使ったとしてもアメリカ人に伝わらないということはない。

日本語に置き換えて言うならば、関西弁と東北弁ぐらいの違いだろうか。イントネーションは違えど伝えようとしている言葉の意味は伝わる。

ただし越境ECという視点で考えると、おそらくアメリカのお客様の割合が多くなることが想定されるので、どちらがよいかと問われれば、アメリカ英語で翻訳することをおすすめする。

 

中国語にも種類がある

10億人の人口を抱える中国は、”爆買い”という言葉が流行語大賞にも選ばれるように、アメリカと並んで越境ECの主要国となる。海外に販路を広げるなら無視できない国だ。

ただし中国語は大きく分けて「簡体字」と「繁体字」がある。中国本土では簡体字が利用されているが、台湾や香港・マカオでは繁体字が利用されている。さらに細かく分けると北京語や広東語などの方言も多くある。

同じ中国であってもどの地域を対象にするかで、翻訳する言葉を切り替えていこう。

 

直訳ではなく意訳スタイル

翻訳を依頼する際には、翻訳者のスキルも大事だ。文章を日本語から外国語にそのまま翻訳するだけではなく、外国の方の生活習慣などを考慮しながら、セールスにつながる文章にしていくことが求められる。

日本語ができるからといって、日本人全員が優れた文章を書けるわけではないように、外国語に翻訳できるからといって、お客様をその気にさせる文章が書けるわけではない。

直訳ではなく意訳スタイルが可能な翻訳者に依頼できるかどうかで、商品ページの訴求力も大きく変わってくる。

 

通貨の違い

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国が違えば通貨も違う。日本円のまま販売していくのか、それともターゲットとしている国の通貨に合わせていくのか。ショップの方針を決めていこう。

 

日本円のまま販売する場合

越境ECであっても、販売価格は日本円のまま表示することもできる。日本人が海外のECサイトで商品購入する際に、ドル表示の価格を日本円に計算しながら買い物を進めていく感覚と同じ。

日本円での販売は為替の影響を受けないというメリットがある。もしドル表記なら円高がすすむと利益が目減りしてしまうリスクがある。その度に価格改定をしてもよいが、お客様にとっては常に販売価格の変わる店は良心的ではない。日本円だと為替の変動を意識することなく、常に一定の利益率を確保できる。

逆に日本円表示のデメリットは、ユーザーにとっては自国の通貨に変換して考えなければならないという手間が発生する。

 

ドル、ユーロ、人民元が鍵

日本円以外の通貨基準にするのなら、ドル、ユーロ、人民元の3つの通貨にすることが大半。中国向け通販なら人民元、ヨーロッパ向け通販ならユーロ、アメリカやその他諸国向けならドルを選択しよう。

その他ある特定国家をピンポイントでターゲットにするなら、その地域で利用されている通貨を選択する。

 

決済の違い

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国内を前提とした通販なら「ネットショップに導入したい決済方法を重要度順にランキング」でご紹介しているように、着払いやコンビニ決済など、多彩な決済方法を利用できる。しかし越境ECの場合は利用できる決済方法にも限りがある。

 

PAYPAL決済

日本ではそこまで普及していないが、海外では利用率の高いPAYPALは越境ECにとって必須の決済システム。使い方はクレジット決済と一緒だが、ネットショップと消費者の間にPAYPALが介入する。

ユーザーとしても海外のECサイトを利用する場合には、クレジット番号を教えても大丈夫なのか…とか、注文したけど商品が届かなかったらどうしよう…と不安を覚えることもあるだろう。

そんなお悩みもPAYPALを利用することで解決する。ユーザーはPAYPALにアカウントを作っておくことで、クレジット番号をショップ側に公開することもなく、もし商品に不備があったり届かない場合も手厚い保証を受けられ、安心してお買い物ができるメリットがある。

事業者側は事前にビジネスアカウントを取得しておく必要がある。
PAYPAL公式サイト: https://www.paypal.com/jp/webapps/mpp/home

 

22以上の通貨に対応

日本のPAYPALアカウントで取引できる通貨の種類は22種類。ドルやユーロはもちろん、ロシアのルーブルやタイのバーツといったマイナーな通貨も扱えるのだが、中国人民元の取り扱いには対応していない。
※中国人民元は中国のペイパルアカウントのみ対応。

 

クレジットカード決済

越境ECの場合は外貨建てのクレジットカード決済を導入しなければならない。
クレジットカード決済を導入するときは、各種決済サービスを提供している事業者を利用すると思うが、日本円での決済しかできないサービスは使えないので、必ず外貨建ての決済が可能かどうかをチェックしておこう。

ペイジェントGMOペイメントゲートウェイが外貨に対応したクレジット決済サービスを提供している。

 

中国向けECなら銀聯カードの導入

メインターゲットを中国としているなら、銀聯(ぎんれん)カードでの決済システムの導入は必須事項となる。中国では銀聯カードと呼ばれるクレジットカードを利用する人がとても多い(約6億人が所有しているという)ため、銀聯カードでの決済ができないとユーザーの離脱につながりやすくなる。

銀聯カードでの決済サービスはソフトバンク・ペイメント・サービスが提供している。

 

配送方法の違い

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海外への配送にはいくつかの手段があり、それぞれで配送料金や到着までの日数、保証の有無などが異なる。どの配送方法を取り入れるかは、ショップの方針で決めていこう。

 

郵便局の利用が一般的

郵便局は世界各国に存在するため、越境ECでは郵便局を利用した配送方法が最も一般的になる。
国内配送の場合は全国一律だったり都道府県によって配送料金が異なるが、国際配送の場合は、品物の重量と配送国の距離によって配送料金が算出されるという違いがある。

郵便局を利用した海外配送なら、こちらの「郵便局で利用できる海外配送サービスをご紹介(EMSやSALなど)」にも詳細を記しているので参考にしてほしい。

 

EMS

EMSとは国際スピード郵便のこと。特急便のようなイメージで、東京からアメリカリフォルニア州までの郵送でも2~3日での到着となる。配送料は高めだが、追跡番号が付いていたり、品物が破損していた場合の補償が付いていたりとサービスが手厚いため、消費者としてもEMSを選択することが多い。

郵便局のEMS専用ページ: https://www.post.japanpost.jp/int/ems/

 

その他航空便、SAL便、船便がある

EMSの他にも日本郵政では航空便、SAL便、船便を利用することが可能。配送にかかる日数は航空便が最も早く、次にSAL便、最も遅いのが船便だ。配送にかかる日数が遅くなればなるほど配送料金も安くなる。

ただし船便の場合は到着までに数か月かかってしまうので、ネット通販の利用にはあまりおすすめできない。
SAL便とは「Surface Air Lifted」の略であり、陸路は船便と同じ扱いで、国と国の間は空輸するタイプの配送。航空便よりも少々時間はかかるが、料金が安いため海外のお客様からは好評だ。

また航空便、SAL便の場合は2kg以内だと小型包装物という扱いになり、通常よりも配送料金が安くなる。

 

最速の配達ならFedEx

配送スピードを第一に考えるなら、世界最大の物流サービスであるFedEx(フェデックス)を利用しよう。世界220以上の国と地域を対象に、1~3営業日で配送してくれる。

東京からアメリカの配送物であれば、郵便局のEMSが3日程度かかるなら、FedExなら次の日には到着してしまう。ただし料金はEMSの4~5倍と、とても高い。よほど緊急を要する送り物でない限り、FedExが選ばれることはないだろう。

FedEx公式サイト: https://www.fedex.com/jp/index.html

 

その他配送サービス

その他には日本でおなじみのヤマト運輸や佐川急便も海外配送サービスを提供している。普段からヤマト運輸にお世話になっているのであれば、ヤマト運輸を利用してもよいだろう。

また取り扱い可能な商品重量や段ボールの大きさなどは、それぞれのサービスごとに規定があるので、送付物が規定内に収まっているかどうかの確認も忘れてはいけない。

 

関税が発生する

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国内向けのネット通販なら商品代金以外に発生するのは送料ぐらいだが、海外向けネット通販の場合、ユーザーは商品代金と送料以外にも関税を支払わなければならない。

関税とは輸入品に課せられる税金のことで、その額は国や商品ジャンルによって変わってくる。基本的には関税はお客様が負担するため、ショップ側にとって金銭的にマイナスになることはないが、ショップ側は商品を税関に通すためにインボイスと呼ばれる用紙を用意する必要がある。

インボイスに商品の品名や数量、単価などを記載して申告する仕組みになっている。

インボイスについは下記の郵便局のページをご覧いただきたい。
インボイスについて

 

インボイスに嘘の記載はNG

ユーザーとしては、できれば関税なんて支払いたくないと思うのが普通だろう。
越境ECを展開していると、たまにお客様から「インボイスに記載する商品単価を実際の価格よりも低く記入してくれ」とか「商品ではなくギフトとして発送してほしい」という要望をいただくことがある。

お客様に気に入られようと、インボイスに嘘の情報を書いてしまいたくなるかもしれないが、絶対に嘘の記載はいけない。もし嘘がばれたら虚偽の申告として罰せられる可能性もある。

 

国によっては送れないアイテムがある

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国によっては送ってはいけないアイテムや、送るために特定のルールを設けている場合がある。そうしたことを知らずに越境ECを始めてしまい、やっぱり送れませんでしたでは済まないので、事業をスタートする前にしっかりと知識を付けていきたい。

 

国際郵便で禁止されているアイテム

郵便を利用する場合は、国際航空運送協会が定めた「危険物に関する規則」にて指定されたアイテムは取扱いができない。基本的には「爆発物・危険物」「麻薬類」「生きた動物」「わいせつな物品」の取り扱いは禁止されている。

詳細については郵便局の「国際郵便として送れないもの」のページを参照してほしい。

 

国によって輸出禁止のアイテムがある

国際郵便で一律で禁止されているアイテムだけでなく、国によっては輸出できないアイテムがあることも忘れてはいけない。厳密には国によって輸入が制限されているアイテムがあり、送付してもお客様の元に届くことはない。

例えばアメリカの場合はバイオテロ法によって、食品関係の輸入は厳しく制限がかかっているし、中国の場合はリンゴとナシ以外の果物は輸入が禁止されていたりする。

国によって規制や制限がかかっている品目については、日本貿易振興JETRO(ジェトロ)のホームページに記載されているので、事前にチェックしておこう。地域や国を選択して、貿易管理制度の項目から確認が可能だ。

アメリカと中国に関しては、下記のページを参考にしてほしい。

 

消費税がかからない

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消費税は日本国民に対して課せられる税のため、越境ECによって海外のお客様に商品を販売した場合には、消費税が発生しない。

国内向けネット通販の場合は、お客様から商品代金と併せて消費税を徴収し、仕入れ時に支払った消費税額との差額分をEC事業者がまとめて国に納付するのが通常の流れだが、越境ECの場合は消費税を国に納めるどころか還付を受けられる。

もし100万円分の商品を仕入れて消費税率が8%なら108万円が仕入れとなる。100万円分の商品をすべて販売した場合は、仕入れにかかった8万円の消費税分が還付される。海外向けに自動車の販売をしているトヨタ自動車では、毎年2000億円ほどの消費税の還付を受けているそうだ。売上が大きくなればなるほど無視できない数字になる。

申請しなければ消費税の還付は行われないので、越境ECをしていくなら知っておきたい制度である。

 

おわりに 海外のルールがあることを理解する

越境ECを始めるなら、最低でも以上7つの商習慣の違いがあることをしっかりと理解しておこう。

それに加え、国によっては今回紹介した内容以外にも異なる商習慣があるかもしれない。国内では常識・当たり前の対応が、海外のお客様にとっては無礼な扱いとなってしまうこともあり得る。国が違えばルールも違うのだ。

しっかりとターゲットとする国についての知識を得ておくことは、トラブルの発生しにくい、顧客満足度の高いショップを作っていく上で重要なことである。

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【記事を書いている人】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

国内向け通販事業、海外向け越境ECを経験して培った知識を活かし、ネットショップ事業者向けに売上げを伸ばすための提案を行っている。特に好きなのは、伸びしろのあるECサイトの販売戦略を考えていくこと。

当ECメディアに掲載している数々の記事が、全国のショップオーナー様のためになれば幸いです。大切にしていることは「売れないショップはない」です。

 

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